24日の米国株式相場は続伸。朝方の波乱を引き起こした銀行売りが反転し、相場全体がプラス圏に浮上した。金融安定の確保に向けた当局の姿勢や、リセッション(景気後退)回避のために中銀は利上げを休止せざるを得なくなるとの観測が背景にある。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 3970.99 | 22.27 | 0.56% |
ダウ工業株30種平均 | 32237.53 | 132.28 | 0.41% |
ナスダック総合指数 | 11823.96 | 36.56 | 0.31% |
S&P500種は午前の取引では前日比1%下げていた。週間ベースでは2週連続高。KBW銀行株指数は2020年11月以来の安値から上昇。シチズンズ・ファイナンシャル・グループやザイオンズ・バンコーポーレーションなどの地銀株が回復を率いた。 ファースト・リパブリック・バンクは続落。年初来の下げは90%に達した。
朝方の下げはドイツ銀行の売りが引き金となった。同行のデフォルト(債務不履行)に対する保証料も上昇。金融業界全般の動揺で利益を上げようとするヘッジファンドの動きが指摘されている。ドイツのショルツ首相は「非常に収益性の高い銀行だ」とドイツ銀行について記者団に述べた。
イエレン米財務長官は金融安定監視評議会( FSOC)の緊急会合を開催するため、米金融監督当局の責任者らを招集した。欧州中央銀行(ECB)の ラガルド総裁は欧州連合(EU)加盟国の首脳に対し、市場で混乱が続いてはいるがユーロ圏の銀行セクターは堅固だと主張した。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ヘーフェル最高投資責任者(CIO)は「信頼感は崩れやすい状態にあり、市場のボラティリティーも高止まりしそうだ。世界の金融システムが堅固さを失わないよう、政策当局は一層目を光らせる必要があるだろう」と解説。「金融環境も引き締まる公算が大きく、そうなれば経済にはハードランディングのリスクが高まる。中銀が利上げの手を緩めてもそれは変わらない」と述べた。
米金利スワップ市場では5月の利上げ織り込みが完全になくなった。利下げは「基本ケース」ではないとしたパウエル連邦準備制度理事会(FRB)の発言ににもかかわらず、市場では6月にも利下げが始まるとの見方の織り込みが進んだ。ECBとイングランド銀行(英中銀)についても、市場はもはや0.25ポイントの追加利上げ観測を織り込んでいない。
パウエル議長が表明した物価安定回復への決意に共鳴するかのように、今週は3地区連銀の総裁が予想以上の景気の強さを理由に、金融引き締めの必要性を強調。セントルイス連銀の ブラード総裁は今年の政策金利ピークに関する自身の予想を5.625%に引き上げたことを明らかにした。米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の予想中央値を50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る水準だ。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらは、向こう数カ月にわたり株式とクレジット市場が低迷するとみている。景気の減速懸念が強まる中、投資家が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生以来の規模で現金に回帰しているからだ。
マイケル・ ハートネット氏率いるチームは23日付リポートで、「強欲なクレジットと株式市場は利下げを期待し過ぎていて、景気後退を十分に恐れていない」と指摘。昨年の弱気相場を正確に予測した同氏は、投資適格級のスプレッドと株式は今後3ー6カ月に打撃を受けるだろうと記した。
米国債
米国債相場は軒並み上昇。取引終盤に株価が戻すにつれ、米国債利回りは下げ幅を縮小した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 3.64% | -5.5 | -1.48% |
米10年債利回り | 3.37% | -5.2 | -1.53% |
米2年債利回り | 3.76% | -6.8 | -1.78% |
米東部時間 | 16時57分 |
セントルイス連銀のブラード総裁による発言や、イエレン米財務長官がFSOCを緊急召集したことで、センチメントは改善した。
外為
ドルは週間ベースで2週連続安。利回りの低下に加え、銀行業界のリスクに当局が対処するとの期待が高まり、リスク志向が改善した。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1237.14 | 4.63 | 0.38% |
ドル/円 | ¥130.72 | -¥0.13 | -0.10% |
ユーロ/ドル | $1.0759 | -$0.72 | -0.66% |
米東部時間 | 16時57分 |
24日のドルは円を除いた主要10通貨全てに対して上昇。イエレン長官がFSOCの緊急会合を招集したことが好感された。
ミーラ・チャンダン氏らJPモルガンの通貨アナリストはリポートで、「銀行業界のストレスは一概にドル弱気要因と見なすべきではない」と今も考えているという。「金や円、スイス・フランなどとの比較での弱さに集中すべきだと考える」と説明した。
ドルは一時、対円で1%下げて129円64銭を付けた後は、下げ幅を縮小。週間では0.9%下げた。
ユーロは対ドルで一時1.1%下げて1.0713ドルを付けた。トレーダーによれば、ヘッジファンドがユーロ・ロングのエクスポージャーを手じまったことが背景。
原油
ニューヨーク原油先物相場は続落。ただ、米政府が銀行預金の保護を約束したほか、今週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合でサプライズがなかったことで市場が落ち着いたことから、週間ベースでは上昇した。
原油は不安定な取引が続いており、銀行懸念が市場の焦点にとどまる限り、原油の需給ファンダメンタルズが価格動向に及ぼす影響は限定される可能性があると、アナリストらは指摘する。
CIBCプライベート・ウェルスのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「原油は数週間にわたって圧力を受けた後、今週は支えを得た」と指摘。「リセッション(景気後退)を巡る懸念や神経質な取引となっている状況を背景に、多くの投資家は様子見姿勢を続けている」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のWTI先物5月限は、前日比70セント(1%)安い1バレル=69.26ドルで終了。週間では2.52ドル上昇。前週は10ドル近く下落していた。ロンドンICEの北海ブレント5月限はこの日、92セント(1.2%)安の74.99ドル。
金
ニューヨーク金相場は反落。金融安定を巡る懸念が再燃する中、朝方には上昇する場面もあったが、米金融当局者の発言を受けて政策金利の軌道が意識され、午後は軟調な展開となった。
セントルイス連銀のブラード総裁は経済の力強さが続いているとし、今年の政策金利のピークに関する自身の予想を引き上げたことを明らかにした。予想引き上げは銀行セクターのストレスが和らぐとの想定に基づいているという。この日はドイツ銀行を中心に金融株が再び売りを浴びたことから、金への逃避需要も見られた。
セントルイス連銀総裁、今年のピーク金利予想5.625%に引き上げ
ドイツ銀の株価急落、一時15%安-欧州銀行業界への不安再燃 (3)
スポット価格はニューヨーク時間午後2時12分現在、前日比0.9%安の1オンス=1976.01ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は0.6%安の2001.70ドルで終了した。
原題: Stocks Eke Out Gains With Banks Reversing Selloff: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Rally, End Off Highs as Stocks Recover, Banks Rebound(抜粋)
Dollar Set to Drop For Second Week as Fears Ease: Inside G-10(抜粋)
Oil Rebounds for Week as US Government Calms Banking Concerns(抜粋)
Gold Wavers as Traders Assess Fed Rate Path, Bank Concerns(抜粋)
March 25, 2023 at 03:59AM
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【米国市況】株は続伸、ドイツ銀誘発の銀行売りが反転-円上昇は失速 - ブルームバーグ
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