公的資金の注入申請を行う方針を示しながら、いまだ申請に至っていないきらやか銀行。金融当局から「待った」をかけられている背景に、何があるのか。
公的資金を活用する方針を示していた、山形地盤のきらやか銀行。貸倒引当金の計上などにより、足元では最終赤字に陥っている(編集部撮影)
「公的(資金)で安易に赤字の穴埋めをするようなことは許されない」。金融当局のある幹部は、山形県を地盤とするきらやか銀行について、厳しい口調でそう指摘する。
きらやか銀は2022年5月、金融機能強化法に基づく公的資金の注入を申請する方針を表明している(詳細はこちら)。コロナ禍によって観光業をはじめ地域経済が疲弊する中、貸し出し余力を高めて資金繰り支援に万全を期す、というのがその名目だ。翌月には株主総会で必要な定款の変更も決議しており、2022年度中に公的資金の注入を受ける手筈だった。
ところが、期末が近づいた今になってもきらやか銀は事実上、申請すらできていない。公的資金は、地元の財務局をはじめ金融当局との事前折衝を経て正式に申請し、注入を受けるというのが通例だ。申請できていないということは、金融当局から「待った」がかかっていることを意味する。
浮き彫りになった甘い与信管理
申請に至らない要因は、大きく2つに分けられる。1つは、きらやか銀の大口融資先で、産業用ロボット製造などを手がけるトガシ技研(山形県鶴岡市)で発覚した粉飾決算だ。
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March 04, 2023 at 04:20AM
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