イングランド銀行(英中央銀行)は4日、市場予想に反し政策金利を据え置いた。成長減速への懸念をインフレ高進見通しより重視した。
ベイリー総裁率いる金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.1%で据え置くことを7対2で決定した。
一連の利上げで来年のうちに政策金利が1%に達するとの市場の見方に対しては、そのような急激な利上げをすればインフレ率は予測期間の最終地点で目標の2%を下回るだろうとして否定した。
ベイリー総裁は政策発表後の記者会見で市場予想について明確に言及し、「インフレ率を将来的に目標以下に押し下げる公算が大きいであろう規模の利上げ予想に対しては警告する」と述べた。
短期金融市場では利上げ予想が後退した。
イングランド銀は、最近の経済指標はインフレ率を目標水準に保つために「今後数カ月」内の利上げが必要だとの見解を強めたと表明。同時に、一時帰休者への支援策終了後の労働市場には大きな不透明感が残ると指摘した。
今回の決定はイングランド銀、特にベイリー総裁の信頼性に疑問を投げ掛けそうだ。総裁はここ数週間、利上げが差し迫っているとの観測が市場で高まるのを放置しておきながら、結局利上げに反対票を投じた。
MPCはまた、債券購入目標額の維持を6対3で決めた。最新の経済予測では成長見通しを引き下げ、インフレ見通しを引き上げた。
この予測によると、消費者物価のインフレ率は2022年4月に5%に達する見込み。当局者の大半はこれを一時的と見なしている。また、インフレ高進を防ぐために金融政策でできることはほとんどないと中銀は強調した。
成長見通しへの懸念が増していると示唆し、供給面のボトルネックと原油、天然ガス、電力の価格急騰によって消費が軟化している兆候を挙げた。
MPCはこれらの問題が景気の重しとなっていると分析。経済規模は来年1-3月(第1四半期)まで新型コロナウイルス禍前の水準を下回ると予想した。コロナ前の水準を回復する時期の見込みを1四半期後ずれさせた。
22年成長率予想は5%と従来の5.3%から下方修正された。
MPC委員のうちラムズデン、ソーンダース両氏が即時利上げを支持し、利上げをしなければインフレが今後数年間、中銀目標を上回り続ける可能性が高いとの見方を示した。今行動することで、将来の急激な引き締めの必要性を減らせると論じた。
国債購入目標額を200億ポンド減らし8550億ポンドとする案には、両氏に加えマン氏が支持した。購入は年末までに完了する予定。
MPCの過半数は直ちに行動することのコストと待つことのメリットを主張し、現在の金融政策姿勢で緩和よりも引き締めに大きな余地を持つことができているとの認識を示した。
経済予測は市場予想に沿って政策金利が22年末までに1%に達することを前提としている。これに従うと、対象期間の終わりまでにインフレ率が目標を下回り、その後さらに低下する可能性がある。市場の利上げ見通しが積極的過ぎると当局が考えていることがうかがわれる。
原題: BOE Shocks Markets by Keeping Interest Rates on Hold (2)(抜粋)
November 04, 2021 at 09:34PM
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