【ニューヨーク=宮本岳則】米金融大手JPモルガン・チェースは10日、ロシア市場から撤退することを明らかにした。ロシアのウクライナ侵攻後、米大手銀行で撤退方針を公表したのはゴールドマン・サックスに続き2社目となる。ロシアでのビジネスを見直す動きは事業会社から始まり、ウォール街にも波及してきた。
JPモルガンは米東部時間10日午後の声明で「世界各国政府の命令に従い、ロシア事業を積極的に解消しており、新規ビジネスは手掛けていない」と明かした。現在は限定的に業務を続けており、例えば、多国籍企業が事業を終えるのを支援したり、ロシア関連のリスクを管理したりしているという。機関投資家の有価証券を保管・管理するカストディー事業も続けている。
JPモルガンのロシア撤退表明は、朝方のゴールドマンに続くものだ。ゴールドマンは同日の声明で「規制および許認可の要件に従って、ロシアにおける事業を段階的に縮小している」と述べた。関係者によると、モスクワ勤務の一部従業員を中東の金融センター、ドバイに移したという。
シティグループは9日、すでに撤退を決めたロシアでのリテール事業を「より限定的に運営している」と明かした。法人向けビジネスについては撤退方針を示していないが、「ロシア経済が世界の金融システムから切り離される過程にあり、当社はロシアにおける事業を引き続き評価している」と述べた。
米英や欧州連合（EU）による対ロシア制裁で、欧米の大手企業はロシアでの事業継続を断念し始めた。米エール大学の調査によるとロシア事業の縮小・撤退を表明した企業はすでに200社を超えた。金融機関は顧客との契約が残っている場合、直ちに事業を閉鎖するのは難しい。ただ世界的に反ロシア感情が高まり、事業会社が先行して撤退を決めるなか、金融機関も対応を迫られている。
March 10, 2022 at 10:40PM
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米銀JPモルガンもロシア撤退へ ゴールドマンに続き - 日本経済新聞
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