[ワシントン 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 預金者の利回り追求がインフレ抑制に寄与する──パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がそう期待しているなら、わずかな資金移動でも実際に予期せぬ援軍になる可能性がある。
米国では貯蓄をマネーマーケットファンド(MMF)に待機させる人が増えており、以前と比べ気軽な消費が難しくとなるとみられる。これがインフレ圧力の緩和につながることが考えられる。
FRBのデータによると、商業銀行の預金は今年最初の12週間で5000億ドル近く減少した。キャピタル・ワンやディスカバー・ファイナンシャル・サービシズなど一部の金融機関は、新規に口座を開設した人に特典を用意しているが、多くの預金者はすでに銀行から資金を移している。米投資信託協会(ICI)によると、個人向けMMFの残高は今年最初の12週間で1840億ドル増加した。
米国の銀行預金残高である17兆ドルと比べると少額だが、決して無視できる数字ではない。預金者はより良いリターンを求めており、そうした金融商品で運用額が最大のフィデリティ・ガバメントMMF(2550億ドル)は平均2.3%の年間リターンを誇る。これに対し、当座預金口座の利息は、連邦預金保険公社(FDIC)によると平均0.1%だ。
高利回り商品には、たとえわずかではあっても、換金性の問題がつきまとう。当座預金口座はデビットカードのように気軽に利用できるが、MMFを解約する場合は時間帯によって1─2日待たされている。少額だが手数料もかかる。証券会社が即時解約が有害だと判断した場合や取引相手が見つからなかった場合、最大7営業日まで資金移動を停止できる。
自己資金の利用のしやすさとインフレの間には正の相関関係がある。ムーディーズ・アナリティクスの2016年の調査によると、電子決済の普及は個人消費と経済全体の生産を大きく押し上げる要因となった。トルコ中央銀行は21年に公表した別の調査で、電子取引がインフレの原因になっていると指摘した。
米国の個人間送金サービス「Zelle(ゼル)」など、電子送金のおかげで消費者のお金のやり取りは摩擦が減ってスムーズになった。Zelleの昨年の決済件数は23億件だ。こうした技術発展が物価上昇の一因になったという説はうなずけるが、逆もまた真となり得る。適度な摩擦があるだけで米国の消費が鈍る可能性があるのだ。
●背景となるニュース
*3月10日のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻を受け、米国の商業銀行からの預金流出が加速。個人向けMMFへの資金流入も加速しており、預金者がMMFの高い利回りと安全性を評価した可能性が高い。
*2月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比5.0%上昇と、1月から伸びが鈍化した。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
April 11, 2023 at 05:20AM
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コラム:米銀の預金流出、インフレ抑制に寄与も - ロイター (Reuters Japan)
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