プロボクシングIBF世界ミニマム級4位重岡銀次朗(23=ワタナベ)が16日、東京・代々木競技場第2体育館で同級3位の前王者レネ・マーク・クアルト(26=フィリピン)との同級暫定王座決定戦に挑む。15日には都内で前日計量に臨み、両者そろってリミット(47・6キロ)でクリア。34秒間のフェースオフ(にらみ合い)で火花を散らした重岡銀は「ぶっつぶす、と心でとなえていました」と気合の入った表情を浮かべた。

「100日分」の悔しさをぶつける。今年1月6日、エディオンアリーナ大阪で同級王者ダニエル・バラダレス(28=メキシコ)に挑戦。試合を優位に進めながら3回、重岡銀のあごにバラダレスの頭が直撃。その直後、王者側から大ダメージを主張され、試合続行不可能という無効試合になった。今回、08年からWBCが導入しているインスタントリプレー(ビデオ判定)がABEMAの協力によってさらに精度が上がり、今回はIBFも初めてビデオ・テスティング・システム(VTS)という名のビデオ判定を採用する。

不可解判定の再発防止につながることもあり、重岡銀は「(VTSで)安心感があります。明日、何か起こるとか考えていませんし、(ビデオ判定を)使わなくてもきれいに倒す」と気合十分だ。今回は兄の重岡優大(25=ワタナベ)がWBC世界同級暫定王座決定戦に出場。国内初の兄弟同時世界王座獲得を狙う。重岡銀は「2人で今もいて、心強い。1人で(世界戦を)やるより落ち着けるし、安心感ある。明日も怖くない」と歓迎した。

先に世界戦に臨み、メインイベントに登場する兄に勝利のバトンをつなげる役目もある。「僕が先に出るので、良い結果を出さないといけない。兄貴が心配せずにアップに集中してもらいたいですし。無傷でぶっ倒して兄貴のセコンドについちゃおうかなと思います」。試合当日の16日には故郷の熊本地震の本震が起こった日であり、兄優大の誕生日でもある。

「熊本地震を思い出す暗い日になるが、少しでも明るい日に。ほんの少しかもしれないけれど重岡兄弟が熊本から生まれたということで明るい思いを届けられれば、役割は果たせられると。明日は俺がKOで必ず勝ちます。兄貴と2人で世界王者になります」。

1月6日の不完全燃焼に終わった世界初挑戦から100日。「人生無敗」の重岡銀が夢をつかむ時が来た。