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「銀壺」の物語 思い巡らせて - 読売新聞オンライン

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 奈良市の奈良国立博物館で開かれている「第74回正倉院展」(主催・奈良国立博物館、特別協力・読売新聞社)の会場で、大型の銀製壺「 銀壺ぎんこ 」が存在感を示している。奈良時代の女帝・称徳天皇が767年(天平神護3年)、東大寺に献納したとみられることや、幻の銀銭「大平元宝」を鋳つぶして制作された可能性があるなど、様々な物語を想起させる宝物だ。(関口和哉)

 正倉院宝物に銀壺は2件伝わり、正倉院宝物の金属器では最大。そのうちの1件(胴径61・3センチ、高さ46・6センチ)が今回出展されている。二つはセットで作られ、同時期に献納されたと考えられている。いずれもシルクロードの影響がある騎馬人物像などの文様が表面に彫られ、これまで中国・唐で作られたとする説が有力だった。

 だが近年、同博物館の吉澤悟・学芸部長が、彫金技法の拙さなどから大陸伝来の原図を基にした国産品の可能性が高いと判断。壺の底にある「天平神護三年二月四日」の銘が、この日に称徳天皇が東大寺に行幸したという「 続日本紀しょくにほんぎ 」の記述と合致することから、称徳天皇が東大寺に献納したとみる。

 権勢をふるっていた藤原仲麻呂(恵美押勝)が、称徳天皇、僧・道鏡と対立して起こした藤原仲麻呂の乱(764年)の2年半後にあたり、奈良時代最大の反乱を平定した感謝を込めた献納だった可能性がある。

 さらに吉澤部長は、仲麻呂が発行に携わった銀銭「大平元宝」を鋳つぶして銀壺を作ったと推定。大平元宝は発行の記録はあるが、現物は現存していない幻の銀銭だ。その理由は「回収されて仏具に再生されたため」と説明する。

 正倉院展担当の三本周作・研究員は「制作や献納の経緯を含め、銀壺を巡る様々な物語に思いを巡らせてほしい」と話している。

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October 31, 2022 at 03:00AM
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