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クレディ・スイスを巡る報道 スイス銀出身者の感想 - 日本経済新聞

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先週末、ウォール街の話題は「クレディ・スイス」一色であった。

クレディ・スイス・グループの株価は今年に入り一貫して下落しており、9月下旬に入り大きく下げた。この半年の下落率は5割近い。クレジット・デフォルト・スワップの保証料率も先週末にかけて急上昇した。マーケット関連のこの2つのデータが様々な臆測を呼んでいるのだ。

クレディ・スイスのケルナー最高経営責任者(CEO)が、従業員宛てに発信したメールを英フィナンシャル・タイムズが報じている。「社内外に様々な噂があることは承知している。10月27日まで、我が社の変革案について私はコメントできない。その間、進行状況を定期的に『アップデート』として発信する」といったものだ。

ケルナーCEOは、クレディ・スイスが米アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引などで巨額損失を計上した後、インベストメント・バンキング部門の戦略的リストラのためにリクルートされたとされる。先週末の米インターネット掲示板「レディット」には、かなり誇張された表現で様々な書き込みがあふれた。

筆者はクレディ・スイスのライバルであるスイス銀(SBC)に在籍したことがある。後にSBCはUBSと合併して、SBCのトレードマークである3つの鍵がUBSのマークとして残っている。

SBCの得意部門がトレーディングであったので、SBC出身のトレーダー仲間・後輩たちとはいまだに連絡しあっている。トレーダーというのは、横のつながりのほうがときとして強い傾向がある。本件に関しても、週末に率直な情報交換の機会があった。

あくまで筆者の個人的な見解であるが、クレディ・スイスに限らず、スイスの大手銀行は、そもそもスイスの実質的な国策銀行の色彩が強く、いまだに、スイス国内のバンキング部門と、国際的なインベストメント・バンキング部門の間には文化の違いが残る。

今は、後者の独走で起きたアルケゴス事件の反省から、リストラ案が練られている最中だ。とはいえ、稼ぎ頭であったインベスト・バンキング部門を根絶やしにすることまではできない。大規模な人員カットは不可避であろう。どこまで身を削るかに関して、ケルナーCEOが奔走していると思われる。その過程で当然、外部との接触も生じるので、断片的な情報が流れているのだ。市場は不透明感を最も嫌うので、27日の「Xデー」までの期間に、不安感はピークに達するであろう。

地味なスイス人の銀行マンと、有名ファッションブランドのスーツを着こなすインベストメント・バンカーは、所詮、水と油だ。スイスの基幹産業ともいえる金融業を守るためのリストラといっても、言うはやすし、行うは難し。軟着陸できるのか否かは、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が置かれた立場に似て、視界不良である。

「イングランド銀行ショック」が市場をかく乱して、低金利が覆い隠していた様々な問題が表面化しつつある。著名投資家ウォーレン・バフェット氏はかつて「潮が引いたとき、はじめて誰が裸で泳いでいるか分かる」と語ったが、まさに過剰流動性の波が引きつつある時期ゆえ、潜在的サプライズ要因として市場も目が離せない。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
YouTube豊島逸夫チャンネル
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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October 03, 2022 at 10:55AM
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