【シンガポール=中野貴司】シンガポールの大手銀ユナイテッド・オーバーシーズ銀行（UOB）は31日、2050年までに投融資先の温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標実現に向け、詳細な計画を公表した。石油・ガスの新規開発案件への融資を停止するなど排出量の多い6業種ごとの工程表を作り、目標の実現性を高める。
UOBは既に銀行内の業務で生じる温暖化ガスの排出量の実質ゼロを21年に達成している。今回は主要な融資先である石油・ガス、電力、自動車、不動産、建設、鉄鋼の6業種の脱炭素計画を策定した。例えば、他業種への波及効果が大きい電力向けの計画では30年に排出効率を21年比で61%減、50年には98%減とする。
石油・ガスでは22年以降に認可された新規開発案件には融資しないことを決めた。UOBによると、石油・ガスの新規開発案件への融資停止の公表はアジアの銀行で初めてになるという。UOBは既に石炭火力発電や炭鉱開発向けの新規融資を停止しており、既存の石炭関連の融資も39年までに完全撤退する。
UOBのウィー・イーチョン最高経営責任者（CEO）は31日の会見で、東南アジア各国の経済発展の状況は異なり、社会課題も多様であると指摘した上で「我々は成長機会の確保と社会的責任の両立に配慮していく」と強調した。
融資先の企業と削減計画についての対話を進めながら、排出量の削減を中長期に支援していく考えだ。6業種の実現状況を毎年点検するほか、詳細な目標をつくる業種も今後拡大していく計画だ。
シンガポールの銀行業界では、最大手のDBSグループ・ホールディングスが9月に石油・ガスなど主要融資先9業種の脱炭素計画を公表。オーバーシー・チャイニーズ銀行（OCBC）も23年前半までに業種ごとの脱炭素計画を示す方針であるなど、気候変動問題への取り組みが加速してきている。
October 31, 2022 at 02:34PM
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シンガポール大手銀UOB、石油・ガス開発向け融資停止 - 日本経済新聞
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