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アングル:三菱UFJ銀へのマイナス金利、想定内でも「真意」に思惑 - ロイター (Reuters Japan)

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[東京 8日 ロイター] - 三菱UFJ銀行の日銀当座預金の一部に初めてマイナス金利が適用されたことについて、日銀では想定内との受け止めがある半面、このタイミングでマイナス金利適用を受け入れた「真意」がわからないとする声も聞かれる。三菱UFJ銀は、預金が想定以上に集まる中で「経済合理性」から判断したと説明するが、一部にはマイナス金利政策への批判を意識したもの、との受け止めがある。

 2月8日、三菱UFJ銀行の日銀当座預金の一部に初めてマイナス金利が適用されたことについて、日銀では想定内との受け止めがある半面、このタイミングでマイナス金利適用を受け入れた「真意」がわからないとする声も聞かれる。写真は2020年2月、東京・丸の内の三菱UFJ銀行本店前で撮影(2022年 時事通信)

<初のマイナス金利>

日銀の業態別当座預金残高(速報値)によると、2021年12月積み期(21年12月16日─22年1月15日)の三菱UFJ銀を含む都市銀行の当座預金残高186兆4470億円のうち、マイナス金利適用残高は2730億円だった。この全額が三菱UFJ銀のものかは確認できていないが、三菱UFJ銀の広報担当者は「3000億円程度」だと明らかにしている。2016年のマイナス金利政策の導入以降、三菱UFJ銀にマイナス金利が付くのはこれが初めてだ。

日銀では、今回の三菱UFJ銀へのマイナス金利適用は想定の範囲内との声が出ている。メガバンクはこれまで、無担保コール市場など日銀当預の外で資金を運用してマイナス金利の適用を逃れてきたが、個人への給付金や消費の手控えなどにより、予想以上のペースで預金が集まっていたからだ。

<なぜこのタイミングなのか>

三菱UFJ銀は「預金が一定の残高を超え、短期金融市場で経済合理的と考える水準での運用手段も限られるため、相対的に利用価値の高まった日銀当座預金に置いておくことにした」とコメントした。人手を割いて短期市場でマイナス金利下の運用を続けるより、マイナス0.1%の政策金利残高の方がマイナスのインパクトは少ないとの判断だ。

しかし、このタイミングでの適用について釈然としないとの見方も日銀内にはある。

日銀は4月以降、当座預金の3層構造のうちゼロ%が適用される「マクロ加算残高」を算出する基準比率を大幅に引き上げる見通しだ。この結果、大手銀にとってはマイナス金利適用を回避しやすくなると考えられるからだ。三菱UFJ銀はこれまで、コストを掛けてでも短期市場での運用を続けてマイナス金利適用を回避してきたのに、マイナス金利が掛かりやすい「最終局面」でマイナス金利適用を選んだのはなぜか、との声が日銀では出ている。

日銀は3月末で新型コロナウイルスの感染拡大を受けて創設したコロナオペの大部分を終了する。コロナオペの利用を促してきたマクロ加算残高の追加措置がはく落するものの、政策金利残高を5兆円程度に保つため、日銀は基準比率の引き上げで対応するとみられる。

<三菱UFJ銀の情報発信>

三菱UFJ銀への初のマイナス金利適用が、市場で金融政策の修正観測が浮上する中で明らかになったことも、同行の「真意」への憶測を生んでいる。

1月17日、日銀が業態別当預残高を発表する前に出た三菱へのマイナス金利適用に関する先行報道を三菱UFJ銀の広報が認めたことで、市場では「日銀のマイナス金利政策の副作用をアピールし、イールドカーブがスティープ化することを誘発したかったのではないか」(大手証券)との指摘も出た。三菱のかつての経営トップがマイナス金利政策を批判したことを想起した日銀関係者もいた。

都銀の当預にはプラス0.1%の金利が付く「基礎残高」が膨大にあり、当預からの金利収入は年間概算で約9500億円に上る。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストによると、12月積み期の都銀の当預に付く加重平均金利はプラス0.04%。「先行きマイナスになることは考えにくい」と話している。

三菱が日銀から受け取る金利収入がネットでプラスであるにもかかわらず、マイナス金利の適用にばかり注目が集まったことに違和感を覚える、との指摘も日銀では出ている。

三菱UFJ銀は同日の広報対応について「マイナス金利政策の副作用をアピールする狙いはない」とコメントした。

日銀の黒田東彦総裁は1月18日の会見で、大手行の一部にマイナス金利が適用されたことについて「マイナス金利政策の副作用をもたらす、または大きくするといったことはない」と指摘。日銀当預の3層構造は「金融機関に対するマイナスの影響をミニマイズしつつ、短期金利を政策金利のマイナス0.1%周辺にするという効果を持っている」と述べた。

<日銀はYCC修正を否定>

銀行界にはマイナス金利撤廃への期待が根強い。しかし、若田部昌澄副総裁は3日の会見で、三菱UFJ銀がマイナス金利を適用されても、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正は考えていないとした。

市場では「黒田総裁の在任中はゼロ金利の解除は難しいだろう。万が一解除されたとしても、貸出金利の反転上昇は期待できない」(アナリスト)との指摘が出ている。

(和田崇彦 取材協力:山崎牧子 編集:石田仁志)

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February 08, 2022 at 01:56PM
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