トライアスロン銀の宇田、結婚５日後の事故乗り越え 男泣きのゴール - 産経ニュース

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【東京パラリンピック２０２０】〈トライアスロン男子　運動機能障害ＰＴＳ４〉銀メダルを獲得した宇田秀生＝２８日、お台場海浜公園（佐藤徳昭撮影）

ゴールにつながる最後の直線。日本の関係者らがスタンディングオベーションでたたえる中、左手に国旗を握りしめた宇田秀生（ＮＴＴ東日本・ＮＴＴ西日本）は何度もガッツポーズをして駆け抜けた。パラトライアスロンで日本勢初の表彰台となる男子（運動機能障害ＰＴＳ４）での銀メダル。「目立つことが目標だった。うれしいですね」。ゴール直後に倒れ込み、男泣きした。

両腕がある選手に比べ、右腕欠損のハンディを負うスイム（０・７５キロ）で８位と出遅れたが、強化してきたバイク（２０キロ）で驚異的な追い上げを見せる。力強くペダルを踏んで周回を重ね、３位へ浮上。さらに自慢の脚力を生かすラン（５キロ）で勢いを加速させた。

ランは１から８までの数字をリズムに乗せて心の中で復唱する。練習で編み出した戦略をこの日も実践。「ターゲットが見えていた。絶対にあきらめない」と力強いスライドでサンチェスパロメロ（スペイン）を抜き去った。

子供のころの夢は「Ｊリーガー」。大学までサッカーに熱中し、高校時代には滋賀県選抜でもプレーした。しかし、２０１３年に仕事中の事故で機械に巻き込まれた右腕を失った。結婚５日後で、妻は妊娠中だった。元来の明るい性格に、妻のサポートもあって前を向き、パラリンピックを見据えて世界と渡り合ってきた。

練習熱心な３４歳。新型コロナウイルス禍の昨年は、五輪を目指す健常者のトップ選手と沖縄でトレーニングを続けた。「パラリンピックはここまでやってきた発表会のようなもの。障害はあるけど、ちゃんとアスリートとして評価してもらいたい」。真っ黒に日焼けした表情に、競技者のプライドをのぞかせた。（田中充）

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August 28, 2021 at 05:53PM
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