結成2季目の村元哉中(かな、28)、高橋大輔(35)組(関大KFSC)が日本勢最高の2位に入った。

FD2位の109・48点を記録し、合計181・91点。200・59点で優勝したグリーン、パーソンズ組(米国)に続いた。村元、クリス・リード組の3位(18年)を上回り、シングルで2度の優勝経験がある高橋は、大会初の両種目表彰台となった。3月の世界選手権(モンペリエ)で日本勢最高の10位以内を目指す。

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初出場から19年。自身8度目の舞台でも、高橋は初々しかった。米国の2組と表彰台に立ち、村元の首へ銀メダルをかけた。「アジア人が銀メダル。ビッグニュースで(日本で)いろいろな人に(種目を)知ってもらえるきっかけになる。特別な4大陸になりました」。1枠の北京五輪代表を逃し、まもなく1カ月。世界で新たな1歩を刻んだ。

大満足ではないところに、伸びしろがある。前日のリズムダンス(RD)は冒頭の交錯で村元が転倒。FDも細かいミスがあり、昨年11月のワルシャワ杯で全5項目8点台をそろえた演技構成点は2項目が7点台だった。アイスダンス転向2季目ながら「うれしさ反面、悔しさもある」と勝負師としての本音も見えた。

コロナ禍ではもがいた。米国を拠点に20年2月から本格的に始動したが、世界的な感染拡大で春に一時帰国した。再渡米直後、リフトを作り上げる最中に高橋の肋骨(ろっこつ)にひびが入った。約1カ月後に復帰すると、今度は2人に合うスピンを模索中に村元が転倒。脳振とうでさらに1カ月、練習できなかった。

それでも、2人の調和には可能性があった。シングル時代からエッジ(スケート靴の刃)ワークに定評があった高橋と滑り、村元は「大ちゃんのカーブに合わせた時、今までにない傾斜を体感できた。曲の捉え方も大ちゃんにしかできない部分がある。『アイスダンスって深い』と思った」と目を丸めた。18年に北米以外で初めて表彰台に立った思い出の大会。道中では当時のパートナーで、20年3月に心臓突然死で亡くなったリードさんを思い返し「クリスとの4大陸は特別な試合でした。うれしいけれど、自分たちがまだできるという悔しい気持ちがあります」と高橋に同調した。

視線は世界選手権へと向く。村元、リード組が18年に記録した日本勢最高の11位を更新し、10位以内に入れば、さいたま開催となる来年の同選手権代表2枠が手に入る。高橋は「今は先のことを考えずにやりたい。トップ10に入りたい」。来季以降のカップル継続はシーズン終了後に2人で協議するが「表彰台の真ん中に立つのを、2人でやってみたい気持ちも芽生えてきている」と笑った。限界は見えていない。【松本航】

◆4大陸選手権 国際スケート連盟主催で、欧州以外の国・地域(アメリカ、アジア、オセアニア、アフリカの4大陸)が参加する。第1回は99年で毎年1月か2月に開催。同時期に行われる欧州選手権に対抗し、選手たちに国際経験を積ませることが目的。参加枠は各国最大3人(3組)まで。昨季のシドニー大会は新型コロナウイルスの影響で中止。アイスダンスのメダリストは米国、カナダ、日本(18、22年)のみ。米国、カナダは五輪代表を惜しくも逃した組が集った。