十六銀行は24日、2021年10月をめどに持ち株会社に移行すると発表した。背景には、預金と貸出金に頼る地銀のビジネスモデルへの危機感がある。持ち株会社のもとで地域商社やフィンテックといった新たな事業を育て、成長の柱につなげる。生き残りに向け、銀行業務に依存した収益構造からの脱却を目指す。
「銀行が頂点に立つ考えを改める」。24日の記者会見で村瀬幸雄頭取は強調した。現在の体制は銀行の下に証券やリース、クレジットカードなどの子会社が並ぶ垂直型。「保守的な銀行文化に染まって新しい事業に挑戦しにくい」といった弊害があるという。
持ち株会社化で描くのは、各部門が対等の並列型。さらに新たな事業を担う会社もぶら下げ、グループ全体の銀行依存度を薄める狙いだ。村瀬頭取は「失敗を恐れず果敢に挑戦できる文化を育てたい」と述べた。21年10月の持ち株会社化までに地域商社やフィンテックのような新会社を複数立ち上げる考えを示した。
政府が進めている銀行業の規制緩和もにらんだ動きと言えそうだ。金融庁は今秋から金融審議会で銀行の出資規制緩和などについて議論を始める見込み。銀行がコロナ禍で苦しむ中小企業などに出資し、事業再生や事業承継を後押ししやすくする制度づくりを急ぐ。
スタートアップの育成にも銀行が積極的に乗り出せるよう後押しする。持ち株会社は傘下各社の独立性が高いため、柔軟にビジネスを展開しやすいとされる。
集めた預金を貸出金に回し、利ざやで稼ぐ伝統的な地銀のビジネスモデルは限界にさしかかっている。特に中部は3県に本拠を置く地銀が8行あり、全国でも異例に低い「ナゴヤ金利」と言われる競争を繰り広げている。十六銀では、貸出金の利息収入から預金にかかる費用を差し引いた「預貸金利ざや」が20年3月期に0.14%と、10年前に比べ0.3ポイント近く減った。
利ざやの低下を補うため、19年に東海東京フィナンシャル・ホールディングスと共同で証券子会社を立ち上げるなど対策を講じてきたが、収益貢献は道半ばだ。
銀行単体の利益に対するグループ全体の利益の割合(連単倍率=連結経常利益を銀行単体の経常利益で割って算出、値が高いほど子会社の貢献度が高い)をみると、20年3月期は1.05倍だった。個人向けの資産運用ビジネスに力を入れている地銀大手の千葉銀行が1.07倍なのに照らすと、十六銀も子会社が比較的貢献している。
それでも村瀬頭取は「銀行業以外の収益力を高める必要がある」と強調する。
菅義偉首相は「地銀の数が多すぎる」として、地域金融の再編を促す趣旨の発言を続けている。村瀬頭取は「持ち株会社化は自力で事業領域を広げていくのが狙いだ」としつつ、「地銀の歴史は再編の繰り返し。将来的に(再編の)可能性を否定する訳ではない」とも話した。
(湯浅兼輔)
September 24, 2020 at 05:30PM
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十六銀、非銀行業務拡大に一石 地域商社やフィンテック - 日本経済新聞
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