球団や立場を超えた絆がある。西武の伊藤和明1軍ヘッドS&Cコーチ(36)は「引退会見も見て、僕も感極まったというかウルッと来たのがありました」と回想する。現役引退した楽天の銀次内野手(35)は、盛岡中央(岩手)時代のチームメートにあたる。

入団7年目。昨季から1軍でのS&C(ストレングス&コンディション)担当になった。「グラウンドで顔を合わす機会が増えてすごくうれしかったです」。昨オフは「あと3年やりたい、20年やりたい」と本人から聞いた。それが。

「今年の終盤、ベルーナドームでの楽天戦で。僕は試合前にセンター後方で投手陣のサポートをしていて。そしたら銀次、センターまで走ってきてくれて。そんなの初めてで。もしかしたら、と感じるものがあったのかもしれませんね」

高校時代、よく一緒にいた。銀次は当時、宇部姓。あいうえお順に並んだ教室ではずっと伊藤、宇部で前後に座る関係だった。ドラフト会議当日も、銀次に集まる廊下からの熱視線を一緒に浴びた。創設間もない地元球団からの指名。盛り上がった。

「胴上げの写真が日刊スポーツに載りましたよ。全部終わって、みんなチャリでお好み焼きを食べに行って。お祝いなのに銀次がおごってくれました」

プロ野球選手になった仲間を見送って、自分も…と燃えた18歳の頃。

「銀次が頑張ってるから自分も頑張れたのもありましたし、選手とスタッフで立場は違いますけど、同じところに立ちたいと思ってやってたので」

夢をかなえて、並んで、また見送る。

「僕もやれるうちというか、必要とされているうちは頑張らないとなと」

次代の野球人を支える。【金子真仁】

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