全国銀行協会の関連団体、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)で起きた大規模な送金障害。復旧までに500万件以上の取引に影響が出た。
暮らしや社会を支える金融システムへの信頼が揺らげば経済活動は停滞する。再発防止策の構築を官民挙げて急がねばならない。
障害は全銀ネットが運営する全国銀行データ通信システム(全銀システム)で生じた。企業間や企業と個人・公的機関との資金決済をオンラインで行うシステムで1973年から稼働し、千を超える金融機関が参加している。
7~9日の3連休に機器の更新作業を行った後、10日に大規模な不具合が発生し、機器の更新対象となった三菱UFJ銀行や商工中金など10の金融機関を利用した送金作業が滞る事態となった。
滞ったのは給料や児童手当、企業の取引先への支払いなど日常生活に欠かせない送金ばかり。被害がどこまで広がったのか正確には把握できていない。全銀ネットは被害状況を詳細に調査した上で、経済的損害が明確になった場合、補償に応じるべきだ。
今回の障害のきっかけとなった更新作業は、振り込みが集中する「五十日(ごとおび)」の直前に行われた。更新時に障害が起こる可能性は予測できたはずで、日程設定に疑問を感じざるを得ない。さらに改修が遅れて丸2日間障害が続くなど、危機対応の拙さも露呈した。
全銀システムは稼働から50年間大きなトラブルはなかった。慢心で管理が甘くなり、大規模障害を起こしたなら猛省が必要だ。
全銀ネットは12日、「復旧に向けた対応が完了した」と発表したが、正確な原因さえ分からないのでは利用者の不安は消せない。
機器の更新作業は今後も続くというが、別の金融機関を対象とした作業で再び障害が起きればシステムへの信頼は地に落ちる。
決済システムは経済を支える大動脈だ。運営は民間に委ねるとしても、所管官庁の適切な監視体制が必要だ。金融庁は全銀ネットから大規模障害の詳細を速やかに聴取し、再発防止に向けた体制強化に努めるべきである。
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October 16, 2023 at 05:06AM
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