三井住友銀行が今月で発足から２０年を迎えた。不良債権危機が日本経済を襲う２００１年に住友銀行とさくら銀行が旧財閥を超えて合併。翌年には持ち株会社の三井住友フィナンシャルグループ（ＦＧ）が誕生した。生き残りをかけ規模拡大を選んだが、空前の低金利により事業環境は激変した。稼ぎにくくなった銀行事業を補うため、金融の枠を超えた新事業の創出を模索している。
「荒海に船出する気持ちだ」。新銀行が始動した０１年４月２日、西川善文初代頭取（故人）は気を引き締めた。前年に第一勧業、富士、日本興業の３行が後のみずほＦＧとなる統合を実現。メガバンク時代が到来した。
発足直後は、バブル崩壊で抱えた不良債権の処理と格闘し、株価低迷も追い打ちをかけた。０３年には会計上の利益を捻出するため、子会社だったわかしお銀行が存続会社として親会社をのみ込む「逆さ合併」を断行。米ゴールドマン・サックスから多額の出資を受けるなど、綱渡りが続いた。
不良債権問題の収束後は着々と利益を積み上げ、リーマン・ショック後の０９年に米シティグループから日興コーディアル証券などを買収。首位の三菱ＵＦＪＦＧを脅かす利益規模に成長した。
しかし、人口減少などを背景とした超低金利が定着する。日銀が１６年に導入したマイナス金利政策は、銀行の貸出金利をさらに低迷させ利益を圧迫した。
「規模の追求では限界があることが明らかになった」（幹部）として、新たな成長分野と見込むのが非金融領域だ。衛星画像分析による需要予測や融資先のデジタル化支援事業に乗り出し、スマートフォンに向けた広告ビジネスも計画する。三井住友ＦＧの太田純社長は「銀行の殻を破る」と強調する。
April 05, 2021 at 04:23AM
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