昨年のシリコンバレー銀行(SVB)や他の地銀の経営破綻で露呈した弱点の一つに対し、米国の対応はまだ十分でない。規制・監督当局は問題を察知しながら、手遅れになる前に行動させることができなかった。
必要な危機感を醸成するには、十分な透明性が大いに役立つ可能性がある。
2023年3月の経営破綻に先立ち、SVBは30回を超える 警告を規制・監督当局から受け、破綻の一因となった金利リスクなどの問題も指摘されていた。取締役会レベルの対応と改善措置のスケジュールが要求されがちな「即時に注意が必要な事項の喚起」(MRIA)も含まれていた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が監督する大手18行(資産規模1000億ドル=約14兆5000億円=以上だが、グローバルなシステム上重要な機関は含まれない)への監督上の 指摘事項は、23年6月時点で221件と、前年の157件から増加した。主にサイバーセキュリティーやマネーロンダリング(資金洗浄)防止のコンプライアンス(法令順守)分野でリスク管理の不備があり、約半数がFRBから満足のいく評価が得られなかった。
銀行監督上の問題は、それが明らかにするリスクと、付随して生じかねないコストを考えると、投資家にとって極めて重要な意味を持ち得る。米証券法はそうした重要情報の開示を企業に一般的に義務付けている。しかし規制・監督当局はそれを非公開として扱い、半期に一度の 報告書で全体的な概要を示すに過ぎない。市場に情報が隠されたままとなり、経営陣に迅速な対応を促す圧力が低下する。
銀行経営の不備が非常に大きく、金融持ち株会社の地位を失う危険があると判断されるような最も深刻な状況にまで、不透明さは及んでいる。
けれども、即時開示は規制・監督当局の自由を必要以上に奪いかねない。預金流出や顧客離れが事態をさらに悪化させることを恐れ、悪い検査結果の公表を当局はためらうかもしれない。例えば、6カ月という短い時間差の組み入れが合理的ではなかろうか。銀行経営陣は、開示が必要になる前に比較的単純な欠陥を修正し、より複雑な問題に対応する計画の策定と着手に十分な時間が得られるだろう。
そうした制度が数年前に整備されていれば、SVBの危機は決して起きなかったかもしれない。同行が当局の警告を受けてより迅速に行動し、資本調達と長期金利へのエクスポージャー抑制に動いていれば、今も営業を続けていたのではあるまいか。
バンカーの行動が気に入らなければ、規制・監督当局はインセンティブを変えるべきだ。慎重なタイムラグを確保しつつ重要な検査結果を開示すれば、金融システム全般の最善の利益にかなう行動を全ての当事者に促すことになるだろう。
(ニューヨーク連銀の前総裁、ウィリアム・ダドリー氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題: If Only We Knew the Problems Facing America’s Banks: Bill Dudley(抜粋)
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January 09, 2024 at 08:01AM
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